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【第1部|電力市場】1.3 スポット市場とは
一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)が開設する電力取引の主要市場がスポット市場である。
スポット市場は一日前市場とも呼ばれ、取引規程では翌日取引と表記される。
1.3.1 スポット市場とは
スポット市場では、翌日に受け渡す電気を取引する。1日を30分単位に分けた48個の商品について、取引会員が売り入札または買い入札を行う。
約定価格と約定量は商品ごとに決まるため、同じ日であっても30分ごとに異なる場合がある。
1.3.2 取引の単位
スポット市場では、30分間に受け渡す電気を1商品として取引する。取引規程で定められている主な単位は次のとおりである。
表1.3-1 スポット市場の取引単位
| 項目 | 内容 |
| 商品数 | 1日48商品 |
| 1商品の時間 | 30分 |
| 取引単位 | 50kWh |
| 価格の表示 | 1kWh当たりの価格 |
| 呼値の単位 | 0.01円/kWh |
取引会員は、商品ごとに希望する売値または買値、量、受渡エリアなどを指定して入札する。
1.3.3 約定価格と約定量の決まり方
スポット市場では、他の取引会員の入札内容が見えない状態で入札するブラインド・シングルプライスオークションが採用されている。
JEPXは、商品ごとに売り入札を価格別に積み上げた供給曲線と、買い入札を価格別に積み上げた需要曲線を作成する。両者の交点によって約定価格と約定量が決定される。
約定価格より低い価格の売り入札と、約定価格より高い価格の買い入札は、入札価格ではなく共通の約定価格で約定する。
1.3.4 通常入札とブロック入札
スポット市場では、30分単位の商品ごとに行う通常入札のほか、連続する複数の商品をまとめるブロック入札を利用できる。
ブロック入札は、指定した複数の時間帯について、入札量の全量がまとめて約定するか、すべて約定しないかのいずれかとなる。そのため、各時間帯の市場価格が入札条件を満たしていても、ブロック全体では約定しない場合がある。
1.3.5 システムプライスとエリアプライス
全国の入札を合成し、地域間連系線の制約を考慮しないで算出した約定価格をシステムプライスという。
一方、地域間連系線で送電できる容量を超える電気の流れが生じる場合は、連系線の制約を考慮して約定計算が分けられる。これを市場分断という。
市場分断が発生した場合、分断されたエリアごとに約定価格が算出される。この価格をエリアプライスといい、エリア間で異なる価格となる場合がある。
1.3.6 約定後の受け渡し
スポット市場で電気を売却した取引会員は、約定量を販売計画に登録する。電気を購入した取引会員は、約定量を調達計画に登録する。
約定した電気は電力ネットワークを通じて受け渡され、売買代金はJEPXを通じて決済される。
スポット市場で翌日分を取引した後、発電不調や需要変化などによって需給のずれが見込まれる場合は、時間前市場で受渡前の調整取引が行われる。
まとめ
スポット市場は、翌日に受け渡す電気を30分単位の48商品に分けて取引する市場である。取引会員による売り入札と買い入札を合成し、需要曲線と供給曲線の交点から約定価格と約定量を決定する。
約定には共通価格を適用するシングルプライス方式が採用されている。地域間連系線の制約によって市場分断が発生した場合は、エリアごとに異なるエリアプライスが形成される場合がある。
この記事について
参考資料
- 一般社団法人日本卸電力取引所「取引概要」
- 一般社団法人日本卸電力取引所「日本卸電力取引所 取引ガイド」
- 一般社団法人日本卸電力取引所「取引規程」
- 資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年6月版) 第1章 第4節 二次エネルギーの動向」
(最終閲覧日:2026年10月15日)
※本記事は、上記資料を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。
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