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【第1部|電力市場】1.4 時間前市場とは

スポット市場で翌日分の取引が行われた後も、発電設備の不調や需要の変化などにより、実際の受渡しまでに需給のずれが見込まれる場合がある。

時間前市場は、このような需給のずれを受渡し前に調整するための市場である。JEPXでは当日市場(時間前市場)と表記され、取引規程では時間前取引と呼ばれる。

1.4.1 時間前市場とは

時間前市場では、数時間後以降に受け渡す30分単位の電気を取引する。

スポット市場が翌日分の電気を一斉に約定させるのに対し、時間前市場では、取引可能な時間内に売り入札と買い入札を継続的に組み合わせる。

1.4.2 商品と取引可能時間

時間前市場では、受渡しを行う30分間を1商品とし、1日を48商品に分けて取引する。

各商品の取引は、受渡日の前日17時に始まり、受渡時間帯の1時間前に終了する。たとえば、13時30分から14時までの商品は、前日の17時から当日の12時30分まで取引できる。

1.4.3 取引の単位

時間前市場で定められている主な取引単位は次のとおりである。

表1.4-1 時間前市場の取引単位

項目内容
1商品の時間30分
取引単位50kWh
受渡単位50kWh
価格の表示1kWh当たりの価格
呼値の単位0.01円/kWh

取引会員は、商品ごとに希望する売値または買値、量、受渡エリアを指定して入札する。

複数の時間帯を指定して入札することもできるが、システム内では商品ごとの個別入札に分割される。スポット市場のブロック入札とは異なり、指定した時間帯をまとめて約定させるものではない。

1.4.4 ザラバ方式による約定

時間前市場では、商品ごとにザラバ方式で取引が行われる。売り入札と買い入札の価格条件が合致すると、その都度、約定処理が行われる。

約定価格には、約定した売買入札のうち、先に入札された価格が適用される。

1.4.5 連系線の送電可否確認

異なるエリアの売買入札が約定の候補となった場合、JEPXは広域機関にエリア間の連系線で送電できるかを確認する。

確認の結果、送電可能と回答された範囲に限って約定する。価格条件が合致していても、送電できない分はその時点では約定せず、入札として場に残る。

1.4.6 約定後の受け渡しと決済

約定後、JEPXは入札ごとの約定価格と約定量などを取引会員へ通知する。

売り手は約定量を販売計画に、買い手は約定量を調達計画に登録する。約定した電気は、これらの計画にもとづいて電力ネットワークを通じて受け渡される。

時間前取引の売買代金と売買手数料は、毎日8時に前日分を締めて計算され、その通知日から2金融機関営業日後に決済される。

まとめ

時間前市場は、スポット市場で翌日分を取引した後に見込まれる需給のずれを、受渡し前に調整するための市場である。

30分単位の商品をザラバ方式で取引し、各商品の取引は受渡日の前日17時から受渡時間帯の1時間前まで行われる。異なるエリア間の取引は、連系線で送電できることを確認した範囲で約定する。

この記事について

参考資料

  • 一般社団法人日本卸電力取引所「取引概要」
  • 一般社団法人日本卸電力取引所「日本卸電力取引所 取引ガイド」
  • 一般社団法人日本卸電力取引所「取引規程」

(最終閲覧日:2026年10月15日)


※本記事は、上記資料を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。


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