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【第1部|電力市場】1.7 需給調整市場とは
電力系統では、需要と供給の均衡が崩れると周波数が変動する。このため、一般送配電事業者は、発電出力や需要を調整できる能力をあらかじめ確保し、実需給時の変動に対応している。
需給調整市場は、周波数制御や需給バランス調整に必要な調整力を市場を通じて調達する仕組みである。
1.7.1 需給調整市場とは
需給調整市場は、一般送配電事業者が必要とする調整力を、発電設備、蓄電池、需要抑制などを用いる事業者から調達する市場である。
多くの電源等に公平な参加機会を設け、調達コストの透明性と適切性を確保しながら、調整力を効率的に確保することを目的として、2021年4月に創設された。沖縄電力の供給区域は対象外である。
1.7.2 需給調整市場で取引する価値
需給調整市場では、一般送配電事業者からの指令などに応じて、発電出力や需要を変化させることのできる能力を取引する。この能力をΔkWで表す。
ΔkWとして確保されたリソースが実際に指令を受けて出力や需要を変化させた場合、その調整量は電力量であるkWhとして扱われる。
表1.7-1 ΔkWとkWhの違い
| 項目 | 内容 |
| ΔkW | 必要なときに出力または需要を変化させられるよう、調整能力を確保しておく価値 |
| kWh | 実需給時の指令などに応じて実際に調整した電力量 |
1.7.3 参加する事業者とリソース
一般送配電事業者は、市場で調整力を調達し、実需給時には確保したリソースなどを用いて周波数制御と需給バランス調整を行う。
調整力を提供する側では、火力発電、揚水発電、蓄電池、自家発電設備、需要抑制などのリソースを利用できる。市場へ参加するには、商品ごとの要件を満たし、事前審査を受ける必要がある。
1.7.4 需給調整市場の5商品
需給調整市場の商品は、変動の速さや継続時間などに応じて、次の5種類に分けられる。
- 一次調整力
- 二次調整力①
- 二次調整力②
- 三次調整力①
- 三次調整力②
三次調整力②は2021年度、三次調整力①は2022年度に取引を開始した。2024年度には一次調整力、二次調整力①および二次調整力②が加わり、全商品区分の取引が開始された。
1.7.5 取引単位とスケジュール
2026年度からは、すべての商品が実需給日の前日に取引され、入札時間単位は30分となった。
複合市場商品である一次調整力から三次調整力①までと、三次調整力②は、同じスケジュールで取引される。
表1.7-2 需給調整市場の主な取引条件
| 項目 | 内容 |
| 入札時間単位 | 30分 |
| 入札受付 | 実需給日の前日11時30分から14時 |
| 約定処理 | 実需給日の前日15時まで |
| 最低入札量 | 1MW |
| 入札量の刻み幅 | 1kW |
1.7.6 実需給時の運用と料金
実需給時には、ΔkWとして確保されたリソースに加え、スポット市場などで約定せずに余力が残った電源も調整に用いられる。一般送配電事業者は、需給状況に応じてリソースへ指令を行う。
調整力の提供事業者には、ΔkWとして調整能力を確保したことに対する料金が支払われる。また、指令などに応じて実際に調整した電力量については、kWh価格にもとづく調整電力量料金が支払われ、または請求される。
約定後は、確保した調整力を提供できる状態に維持しているか、指令などに応じて定められた性能で応動したかが確認される。
まとめ
需給調整市場は、一般送配電事業者が周波数制御と需給バランス調整に必要な調整力を市場から調達する仕組みである。発電設備、蓄電池、需要抑制などが、要件と事前審査を満たすことで参加できる。
市場では調整能力をΔkWとして確保し、実需給時に実際に調整した電力量をkWhとして扱う。2026年度からは、全商品が前日取引となり、30分単位で入札されている。
この記事について
参考資料
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「需給調整市場とは」
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「需給調整市場かいせつ資料(第2版)」
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「需給調整市場の商品要件と取引スケジュール(第6版)」
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「取引規程」
(最終閲覧日:2026年10月16日)
※本記事は、上記資料を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。
この記事を書いた企業
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