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【第1部|電力市場】1.8 需給調整市場の5商品とは
電力需要や再生可能エネルギーの出力は、数秒から数時間まで、異なる周期で変動する。電源脱落や予測誤差によっても、需要と供給の差が生じる。
需給調整市場では、こうした変動へ応動時間の異なる調整力を組み合わせて対応するため、5種類の商品が設けられている。
1.8.1 変動周期に応じた調整力
需要や再生可能エネルギーの変動は、極短周期成分、短周期成分、長周期成分に分けられる。それぞれの変動へ対応する機能として、GF、LFC、EDCが用いられる。
表1.8-1 変動周期と調整機能
| 変動周期 | 時間の目安 | 調整機能 | 概要 |
| 極短周期成分 | 数秒から数分程度 | GF | 発電機などが周波数の変化に応じて出力を調整する |
| 短周期成分 | 数分から十数分程度 | LFC | 中央給電指令所からの信号に追従して出力を調整する |
| 長周期成分 | 十数分から数時間程度 | EDC | 需要予測などに合わせて出力を調整する |
1.8.2 5商品の役割
5商品は、対応する変動や予測誤差などによって区分される。
表1.8-2 需給調整市場の5商品
| 商品 | 主に対応する変動等 |
| 一次調整力 | 時間内変動の極短周期成分、電源脱落等 |
| 二次調整力① | 時間内変動の短周期成分、電源脱落等 |
| 二次調整力② | ゲートクローズ以降に生じる予測誤差の長周期成分 |
| 三次調整力① | ゲートクローズ以降の需要・再エネ出力の予測誤差、電源脱落等 |
| 三次調整力② | FIT特例制度①・③を利用する再生可能エネルギーの予測誤差 |
一次調整力はGF機能、二次調整力①はLFC機能に該当する。二次調整力②と三次調整力①は、いずれもEDC機能に該当するが、二次調整力②のほうが短い時間で応動する商品として設計されている。
三次調整力②は、再生可能エネルギーの予測誤差に対応するため、ほかの商品より応動時間と指令間隔が長く設定されている。
1.8.3 応動時間と継続時間
各商品には、応動時間と継続時間の要件が定められている。
表1.8-3 各商品の応動時間と継続時間
| 商品 | 応動時間 | 継続時間 |
| 一次調整力 | 10秒以内 | 5分以上 |
| 二次調整力① | 5分以内 | 30分 |
| 二次調整力② | 5分以内 | 30分 |
| 三次調整力① | 15分以内 | 30分 |
| 三次調整力② | 60分以内 | 30分 |
一次調整力をオフラインで監視する場合は、応動時間が30秒以内となり、継続時間は設定されない。
1.8.4 指令・制御と通信回線
商品の応動速度や調整機能に応じて、指令・制御の方式と使用できる通信回線が異なる。
表1.8-4 指令・制御方式と通信回線
| 商品 | 指令・制御 | 通信回線 |
| 一次調整力 | 自端制御 | 専用線のみ。ただし、オフライン監視の場合は不要 |
| 二次調整力① | LFC信号によるオンライン制御 | 専用線のみ |
| 二次調整力② | EDC信号によるオンライン制御 | 専用線または簡易指令システム |
| 三次調整力① | EDC信号によるオンライン制御 | 専用線または簡易指令システム |
| 三次調整力② | オンラインによる指令 | 専用線または簡易指令システム |
一次調整力と二次調整力①では、実需給時にリソースが系統へ並列している必要がある。二次調整力②、三次調整力①および三次調整力②では、並列は必須ではない。
1.8.5 共通する入札要件
5商品はいずれも入札時間単位が30分、最低入札量が1MW、入札量の刻み幅が1kWである。
入札できる量の上限は、各商品の応動時間内に出力を変化させられる量にもとづく。応動時間が短い商品ほど、短時間で出力や需要を変化させられる性能が必要となる。
各商品には上げ調整と下げ調整の区分があるが、現行制度で調達されているのは上げ調整力である。
まとめ
需給調整市場の5商品は、電力需給の変動周期、予測誤差、電源脱落などへ対応するため、異なる応動時間と制御方式を持つ。
一次調整力が最も速く応動し、ほかの商品は対応する変動や予測誤差に応じて異なる応動時間を持つ。市場へ参加するリソースには、選択する商品の応動時間、継続時間、指令・制御および通信回線の要件を満たすことが求められる。
この記事について
参考資料
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「需給調整市場とは」
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「需給調整市場かいせつ資料(第2版)」
- 一般社団法人電力需給調整力取引所「需給調整市場の商品要件と取引スケジュール(第6版)」
(最終閲覧日:2026年10月16日)
※本記事は、上記資料を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。
この記事を書いた企業
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