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電気・電子シリーズ 番外編|第7回 PVケーブルの規格と日本での使用条件

太陽光発電設備の直流側では、PVケーブル(太陽電池発電設備用直流ケーブル)が使用される。

PVケーブルには、国内基準である「電気設備の技術基準の解釈」、日本の任意認証であるS-JET認証、国際規格のIEC 62930、欧州規格のEN 50618など、複数の規格や基準が関係する。

本記事では、それぞれの規格・基準が定めている内容と、日本でPVケーブルを使用する際の確認事項について説明する。

PVケーブルとは

PVケーブルとは、太陽光発電設備の直流側配線に使用されるケーブルの総称である。

本項では、このうち電気設備の技術基準の解釈第46条に規定される、金属製の電気的遮へい層を有しない直流1,500V以下の太陽電池発電設備用直流ケーブルを中心に説明する。

太陽電池発電所では、PVケーブルが広く使用されている。

日本では、電気設備の技術基準の解釈(以下「電技解釈」)において、PVケーブルを使用するための条件が定められている。

電気設備の技術基準の解釈 第46条

原則と例外

電技解釈第46条第1項では、太陽電池発電所に施設する高圧の直流電路の電線(電気機械器具内の電線を除く)は、高圧ケーブルであることを原則としている。

ただし、取扱者以外の者が立ち入らないような措置を講じた場所では、所定の要件に適合する太陽電池発電設備用直流ケーブルを使用できる。

PVケーブルは、このただし書によって使用が認められている。

ケーブルの構造と材料

第46条第1項の各号では、ケーブルの構造と材料について、主に次の要件が定められている。

  • 使用電圧:直流1,500V以下
  • 構造:絶縁物で被覆した上を外装で保護した電気導体
  • 導体:断面積60mm²以下の、別表第1に規定する軟銅線またはこれと同等以上の強さのもの
  • 絶縁体・外装の材料:架橋ポリオレフィン混合物、架橋ポリエチレン混合物またはエチレンゴム混合物
  • 絶縁体の厚さ:導体の公称断面積に応じて0.7~1.0mmの標準値が定められている

絶縁体と外装の機械的特性は、室温での引張試験と、150℃で168時間加熱した後の引張試験で確認する。

  • 絶縁体:引張強さ6.5N/mm²以上、伸び125%以上
  • 外装:引張強さ8.0N/mm²以上、伸び125%以上
  • 加熱後:いずれも、引張強さと伸びが加熱前の値の70%以上

外装の厚さの標準値 t[mm]t [mm] は、次式で求める。

t=0.035D+1.0(7-1)t = 0.035D + 1.0 \tag{7-1}

ここで D[mm]D [mm] は、丸形のものでは外装の内径、それ以外のものでは外装の内短径と内長径の和を2で除した値である。

完成品の試験

完成品については、主に次の試験が定められている。

  • 耐電圧:清水中に1時間浸した後、導体と大地の間に直流15,000Vまたは交流6,500Vを5分間加えたとき、これに耐えること
  • 絶縁抵抗:耐電圧試験の後、直流100Vを1分間加えて測定した絶縁抵抗が1,000MΩ-km以上であること
  • 低温特性:−40±2℃の状態で、低温曲げ・低温伸び・低温衝撃の試験を行ったとき、これに適合すること
  • 日本電気技術規格委員会が承認した規格「定格電圧1kV~30kVの押出絶縁電力ケーブル及びその附属品-定格電圧0.6/1kVのケーブル」に規定する方法で試験したとき、これに適合すること(S-JET認証基準ではオゾン試験として引用)
  • JIS K 7350-2(2008)などの試験方法で試験したとき、クラックが生じないこと(S-JET認証基準では耐候性試験として引用)
  • 切り込みを入れた試験片を−15℃、室温、85℃に3時間放置した後に円筒へ巻き付け、清水中で交流300Vを5分間加えたとき、これに耐えること

また、室温でばね鋼製のニードルに荷重を加えて絶縁被覆を貫通させたとき、ニードルと導体が電気的に接触した際の荷重(4回の平均値)が、次式の値以上であることが求められる。

F=150×導体外径(7-2)F = 150 \times \sqrt{\text{導体外径}} \tag{7-2}

ここで FF は荷重 [N][N] である。

令和7年11月の改正

これまで電技解釈では、PVケーブルを高圧の電線に使用できる場所として、太陽電池発電所の事例のみが示されていた。

一方で、直流を用いる蓄電池の導入拡大に伴い、太陽電池発電所以外の場所でもPVケーブルを使用できるかという問い合わせが寄せられていた。

これを受けて、令和7年11月20日の改正により、蓄電池にもPVケーブルを使用できる旨が規定された。該当する条文は、第10条、第46条および第154条の2である。

現行の第46条第2項では、発電所、蓄電所または変電所などであって取扱者以外の者が立ち入らない措置を講じた場所に施設する、蓄電池に接続する高圧の直流電路の電線には、第10条第1項の規定にかかわらず、第1項各号に適合するPVケーブルを使用できるとされている。

前回(第6回)で取り上げた系統用蓄電池にも関係する改正である。

S-JET認証(日本の任意認証)

S-JET認証は、一般財団法人電気安全環境研究所(JET)が行う第三者認証制度であり、電気用品安全法を補完する性質を持つ。

製品の安全性評価に加えて、製造工場の品質管理体制も評価の対象となる。

PVケーブルについては、次の2種類の認証基準が設けられている。

太陽電池発電設備用直流1500Vケーブル

電技解釈第46条第1項への適合に加え、導体に関する要件や、JIS C 3665-1-2の難燃性試験への適合などが求められる。

太陽電池発電設備用低圧ケーブル

定格電圧が直流750V以下のケーブルで、小出力発電設備である太陽電池発電設備用の直流ケーブルが対象となる。

解釈基準別表第一への適合のほか、直流電圧による耐電圧試験、オゾン試験および耐候性試験への適合などが求められる。

いずれの基準でも、電線の表面に製品の種類を1メートル以下の間隔で、容易に消えない方法で表示することが求められる。

JISによる試験

国内の要件では、PVケーブルの適合を確認するための試験方法や基準として、JISが引用されている。

  • 電技解釈第46条:完成品の耐候性を、JIS K 7350-2(2008)「プラスチック-実験室光源による暴露試験方法-第2部:キセノンアークランプ」の試験方法で確認する
  • S-JET認証(直流1500Vケーブル):JIS C 3665-1-2の難燃性試験に適合すること
  • S-JET認証(直流1500Vケーブル):導体の要件の一つとして、JIS C 3664の絶縁ケーブルの導体に適合する軟銅線が挙げられている

IEC 62930(国際規格)

IEC 62930は、国際電気標準会議(IEC)が2017年に発行した、太陽光発電システム用ケーブルの国際規格である。

主な内容は次のとおりである。

  • 架橋絶縁・架橋シースの単心電力ケーブルが対象
  • 太陽光発電システムの直流側で使用し、定格直流電圧は1.5kV以下
  • 低煙ハロゲンフリーのケーブルと、ハロゲンを含みうるケーブルの両方を含む
  • クラスII機器での使用に適する
  • 通常の連続最高導体温度は90℃
  • 最高導体温度120℃での使用は、合計20,000時間までに制限

日本のJISにおける扱い

PVモジュールの安全性に関する国際規格IEC 61730-1:2016では、PVモジュールのケーブルについて、EN 50618(またはその置き換え規格であるIEC 62930)への適合を必須としている。

一方、これに対応する日本産業規格JIS C 61730-1:2020では、日本とIECで電圧区分が異なることから、外部配線およびケーブルについて、IEC 62930への適合を必須とはせず、推奨にとどめている。

EN 50618とTÜV認証

EN 50618とIEC 62930の関係

EN 50618は、2014年12月から使用されている欧州規格である。

TÜV(テュフ) Rheinlandによれば、IEC 62930はEN 50618をもとに作成されており、両者の違いは一部にとどまる。

旧TÜV規格の廃止

TÜV Rheinland独自の規格である2PfG 1169および2PfG 1990は、2017年10月27日に廃止された。

TÜV Rheinlandは、これらの証明書のみを持つPVケーブルはPVシステムに設置できなくなったとし、EN 50618またはIEC 62930への移行を求めている。

製品の仕様書や認証表示に2PfG 1169のみが記載されている場合は、現行規格での認証の有無を確認する必要がある。

EN 50618の主な試験項目

TÜV Rheinlandが公開しているEN 50618の試験概要には、主に次の項目が含まれる。

  • 水中耐電圧試験(交流6.5kVまたは直流15kV)
  • 直流1.8kV、240時間の長期絶縁抵抗試験
  • 20,000時間における温度指数120の熱耐久性試験
  • オゾン試験、耐候性(UV)試験、湿熱試験(90℃・85%RH、1,000時間)
  • 垂直燃焼試験、発煙試験、ハロゲン評価

水中耐電圧試験の電圧値(交流6.5kVまたは直流15kV)は、電技解釈第46条の完成品の耐電圧試験と同じ値である。

このうち動的貫通試験では、次式で求める値に達する前に貫通しないことが求められている。

F=150Dn(7-3)F = 150\sqrt{D_n} \tag{7-3}



ここで DnD_n は導体径 [mm][mm] である。

電技解釈第46条にも同じ形の式(式(7-2))が定められており、どちらも導体の径から貫通荷重の基準値を求めている。

日本でPVケーブルを使用する際の確認事項

以上を踏まえると、日本でPVケーブルを使用する際には、主に次の点を確認する必要がある。

  • 高圧の直流電路に使用する場合、電技解釈第46条の要件(立入制限の措置、直流1,500V以下など)を満たしているか
  • 蓄電池に接続する電路に使用する場合、電技解釈第46条第2項の条件に該当するか
  • S-JET認証の取得状況を確認すること(任意認証であり、法令上の必須条件ではない)
  • 海外製品の場合、EN 50618またはIEC 62930で認証されているか(旧2PfG 1169のみでないか)

なお、JIS C 61730-1はPVモジュールの安全性に関する規格であり、PVケーブルを高圧の直流電路に施設する際の要件は、電技解釈第46条で別に定められている。

IEC 62930やEN 50618の認証を受けた製品を日本で使用する場合でも、第46条の各要件への適合は個別に確認する必要がある。

この記事について

参考文献
・経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(令和7年11月20日改正)
・経済産業省「電気設備の技術基準の解釈の一部改正について」(令和7年11月20日)
・経済産業省 電力安全課「PVケーブルに係る規制の明確化等について」(令和7年3月17日)
・一般財団法人電気安全環境研究所「S-JET認証」「S-JET認証(太陽電池発電設備用ケーブル)」
・IEC, “IEC 62930:2017 Electric cables for photovoltaic systems with a voltage rating of 1,5 kV DC,” IEC Webstore.
・TÜV Rheinland, “New International Requirements for Manufacturers of PV cables.”
・TÜV Rheinland, “Cables for PV-systems: Overview of check routine according to EN 50618:2014.”
・日本産業規格 JIS C 61730-1:2020「太陽電池(PV)モジュールの安全適格性確認-第1部:構造に関する要求事項」
(最終閲覧:2026年9月26日)


※本記事は、上記文献を参考にしつつ、筆者の理解および実務上の知見に基づき整理したものである。


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