OMOGANEYA Technical Academy 〜 重金屋 技術塾 〜
電気・電子工学 番外編|第8回 バイオマス発電と接続検討
バイオマス発電設備を電力系統へ接続する場合、一般送配電事業者または配電事業者に接続検討を申し込む。
接続検討では、発電設備の出力だけでなく、発電機の種類、電気的特性、制御方式および系統との接続構成などが確認される。
電力広域的運営推進機関(以下「OCCT」)は、太陽光発電・蓄電池および風力発電の接続検討申込書について記載例を公開している。一方、今回参照した公開資料には、バイオマス発電専用の記載例は含まれていない。
本記事では、当社が申請支援を行ったバイオマス発電設備の事例をもとに、接続検討で整理した発電機および制御系の技術情報、図面・計画資料について説明する。
8.1 バイオマス発電の接続検討
バイオマス発電の接続検討申込では、原動機、発電機および系統との接続方式を確認し、設備構成に対応した情報を整理する必要がある。
例えば、同期発電機を直接系統へ接続する設備と、逆変換装置を介して系統へ接続する設備では、確認される技術項目が異なる。
表8-1に、設備方式による主な確認項目の違いを示す。
表8-1 設備方式による主な確認項目
| 設備方式 | 主な確認項目 |
| 同期発電機などの回転機を系統へ接続する設備 | 発電機出力、力率、リアクタンス、時定数、慣性定数、AVR、励磁系およびガバナ系 |
| 逆変換装置を介して系統へ接続する設備 | 逆変換装置の定格、主回路方式、出力制御方式、電圧調整機能、高調波、FRTなど |
今回取り上げる事例では、内燃機関ガスエンジンを原動機とする同期発電機を使用している。このため、回転機用の発電設備仕様を中心に申請資料を作成した。
8.2 回転機の発電設備仕様
回転機を使用する発電設備では、発電機の定格だけでなく、系統事故時や周波数変動時の挙動を確認するための情報も必要となる。
当社が取り扱った事例では、表8-2の項目を発電機メーカーの資料などから確認し、発電設備仕様へ反映した。
表8-2 回転機について確認した主な技術情報
| 区分 | 主な技術情報 |
| 発電設備の構成 | 原動機の種類、コージェネレーション採用の有無、発電機の種類、発電機台数 |
| 発電機の定格 | 容量、定格電圧、定格出力、出力抑制時の最低出力 |
| 運転範囲 | 定格力率、力率の運転可能範囲、運転可能周波数、連続運転可能周波数、周波数低下時の運転継続時間 |
| 系統連系機能 | FRT要件の適用有無、並列時許容周波数、自動電圧調整装置(AVR)の有無 |
| 同期機定数 | 同期リアクタンス、過渡リアクタンス、初期過渡リアクタンス、開路時定数、慣性定数、制動巻線の有無 |
発電機が複数台あり、すべて同じ仕様である場合は、対象となる号機と台数を明確にする。
異なる仕様の発電機を併設する場合は、仕様ごとに発電設備の情報を整理する必要がある。
8.3 励磁系とガバナ系
同期発電機を用いる設備では、発電機本体の仕様に加えて、励磁系とガバナ系の制御特性を示す資料が必要となる場合がある。
接続検討では、励磁系およびガバナ系の構成や定数を、伝達関数ブロック図によって示す。
今回の事例では、次の資料を提出した。
- 主発電機系伝達関数ブロック図-励磁系-
- 発電機制御系伝達関数ブロック図-ガバナ系-
これらの資料は、発電機メーカーまたは発電装置メーカーが保有する技術情報をもとに作成する。申請者側だけでは確定できない項目があるため、接続検討を申し込む前に必要な資料を入手できるか確認しておくことが重要である。
8.4 図面および計画資料
接続検討では、発電機や制御系の資料だけでなく、設備全体と連系位置を確認するための図面および計画資料も使用する。
当社が取り扱った事例で準備した主な資料を表8-3に示す。
表8-3 接続検討で準備した主な図面・計画資料
| 資料 | 主な内容 |
| 単線結線図 | 発電機、変圧器、遮断器、保護装置および連系点の電気的な接続関係 |
| 敷地平面図 | 敷地内における発電設備、受変電設備および連系設備の位置 |
| 主要設備レイアウト | 発電機、原動機、受変電設備などの主要設備の配置 |
| 発電場所周辺地図 | 発電場所と周辺道路、目標物および連系予定地点の位置関係 |
| 工程表 | 設計、調達、工事、試験および運転開始までの予定 |
| 土地調査結果 | 発電設備等を設置する土地に関する確認結果 |
これらの資料は個別に作成するが、発電機台数、設備容量、変圧器構成および連系点などの内容を相互に一致させる必要がある。
8.5 OCCTの記載例を参照する際の注意
OCCTが公開する太陽光発電・蓄電池の記載例には、直流発電設備やPCSなどの逆変換装置に関する記載方法が示されている。
また、風力発電の記載例では、全出力を逆変換装置を介して連系する設備について、逆変換装置用の様式が使用されている。
したがって、直流発電設備用の様式や逆変換装置用の様式を、太陽光発電・蓄電池だけに使用する様式と考えることはできない。使用する様式は、電源の名称だけでなく、発電設備の構成と系統への接続方式に応じて判断する必要がある。
今回取り上げた同期発電機の事例では、直流発電設備用の様式3の2および逆変換装置用の様式3の5は使用していない。
8.6 接続検討資料と最終設計
接続検討の段階では、検討結果を確認した後に事業化を判断する場合もあり、設備のすべてが最終決定しているとは限らない。
一方、発電機の電気的特性や制御系の定数など、メーカーの技術資料がなければ記載できない項目もある。
そのため、接続検討では、計画中の設備構成を前提としながら、一般送配電事業者等が系統への影響を検討できるだけの技術情報を準備する必要がある。
また、接続検討時の資料は施工用の最終設計そのものではない。接続検討後に設備仕様や構成を変更する場合は、回答内容との整合性を確認し、必要に応じて一般送配電事業者等と協議することとなる。
バイオマス発電の接続検討では、申込書を埋めるだけでなく、発電方式に応じたメーカー資料を収集し、発電設備、制御系および各図面の内容を整合させることが重要である。
この記事について
参考資料
・電力広域的運営推進機関「接続検討申込書 記載例(太陽光・蓄電池・蓄電池併設)【高圧】」(2026年4月)
・電力広域的運営推進機関「接続検討申込書 記載例(風力)【高圧】」(2026年4月)
・当社が申請支援を行ったバイオマス発電設備の接続検討資料
(最終閲覧日:2026年10月12日)
※本記事は、上記資料ならびに当社がバイオマス発電設備の接続検討申請を支援する中で得た実務上の知見をもとに整理したものである。必要となる資料および手続きは、一般送配電事業者、発電方式、設備構成、連系電圧その他の条件によって異なるため、個別案件については関係する一般送配電事業者等へ確認する必要がある。
この記事を書いた企業
- 企業名
- 株式会社マリンテクノサービス
- 事業内容
- ・船舶用機械・機器の輸出入
・再生可能エネルギー関連事業
・産業機器・製品の調達・販売
・OMOGANEYAの運営 - URL
- https://marinetechno.jp/
- 連絡先
- info-jp@marinetechno.jp
お問い合わせ
contact製品・サービスの掲載、掲載情報に関するお問い合わせ、OMOGANEYAを通じた調達・販売・取引支援について、お気軽にご相談ください。