OMOGANEYA Technical Academy 〜 重金屋 技術塾 〜
【第1部|電力市場】1.1 容量市場とは
電力を安定して供給するには、実際に使用する電力量だけでなく、必要なときに発電できる能力をあらかじめ確保しておく必要がある。
容量市場は、将来必要となる供給力を市場を通じて確保するための仕組みである。
1.1.1 容量市場とは
容量市場は、日本全体で将来必要となる供給力(kW価値)を取引する市場である。ここでいう供給力とは、電力を必要とする時点に発電または需要抑制によって電力を供給できる能力を指す。
卸電力市場などで取引される電力量(kWh)が、実際に発電または消費される電気の量を表すのに対し、容量市場で取引される供給力(kW)は、必要なときに電力を供給できる能力を表す。
表1.1-1 容量市場と電力量取引の違い
| 項目 | 容量市場 | 電力量の取引 |
| 取引する価値 | 供給力(kW価値) | 電力量(kWh価値) |
| 対象 | 将来、電力を供給できる能力 | 実際に発電・供給される電力量 |
1.1.2 容量市場が導入された背景
電力小売全面自由化や再生可能エネルギーの導入拡大などにより、発電事業を取り巻く環境は変化している。売電収入の低下は将来の電源投資の予見性に影響を与え、必要な供給力が中長期的に確保されないおそれがある。
このため、将来必要となる供給力を市場で一括して確保する制度として容量市場が設けられた。国による制度設計を経て、2020年に電力広域的運営推進機関(広域機関)を市場管理者とするオークションが開始された。
1.1.3 容量市場の仕組み
広域機関は、電気事業者が提出する供給計画などをもとに、日本全体で必要となる供給力を算定し、目標調達量を示す。発電事業者などは、保有する電源等の供給力をオークションに応札する。
メインオークションは、供給力を実際に提供する年度である実需給年度の4年前に実施される。全国単一の市場で行われ、沖縄を除く9エリアが対象となる。
オークションには、複数の落札者に共通の約定価格を適用するシングルプライス方式が採用されている。
容量市場におけるオークション
表1.1-2 容量市場における主なオークション
| オークション | 概要 |
| メインオークション | 実需給年度の4年前に、単年度分の供給力を確保する |
| 追加オークション | メインオークション後の需要や供給力の変化を踏まえ、必要に応じて実需給年度の1年前に供給力を追加調達またはリリースする |
| 長期脱炭素電源オークション | 新設・リプレース等の脱炭素電源を対象として、原則20年間の供給力を確保する |
1.1.4 関係事業者と費用の流れ
容量市場では、広域機関、容量提供事業者、小売電気事業者等がそれぞれの役割を担う。
表1.1-3 容量市場における主な役割
| 主体 | 主な役割 |
| 広域機関 | 市場管理者としてオークションを実施し、落札電源等と約定価格を決定する |
| 発電事業者等 | 供給力を応札し、落札した場合は実需給年度に供給力を提供する |
| 小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者 | 供給力を確保する費用として容量拠出金を負担する |
広域機関は、実需給年度に小売電気事業者等から容量拠出金を受け取り、落札した容量提供事業者へ容量確保契約金額を支払う。小売電気事業者の容量拠出金は、需要シェアなどにもとづいて配分される。
1.1.5 落札後に求められる供給力の提供
容量市場で落札した事業者は、容量確保契約を締結し、実需給年度に契約した供給力を提供する。
容量提供事業者には、電源等の区分に応じた条件であるリクワイアメントが定められる。広域機関は供給力が提供されているかを確認し、リクワイアメントを達成していない場合には、容量確保契約金額の減額などのペナルティが発生することがある。
まとめ
容量市場は、将来必要となる供給力(kW価値)を、オークションによってあらかじめ確保する市場である。メインオークションは実需給年度の4年前に行われ、必要に応じて1年前に追加オークションが実施される。
落札した容量提供事業者は実需給年度に供給力を提供し、小売電気事業者等が負担する容量拠出金を原資として容量確保契約金額を受け取る。この仕組みにより、中長期的な供給力の確保と電力の安定供給を支えている。
この記事について
参考資料
- 電力広域的運営推進機関「容量市場について」
- 電力広域的運営推進機関「容量市場の構成」
- 電力広域的運営推進機関「オークションの方式」
- 電力広域的運営推進機関「容量拠出金とは」
- 電力広域的運営推進機関「長期脱炭素電源オークションとは」
- 電力広域的運営推進機関「容量市場メインオークションについて(対象実需給年度:2030年度)」
(最終閲覧日:2026年10月15日)
※本記事は、上記資料を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。
この記事を書いた企業
- 企業名
- 株式会社マリンテクノサービス
- 事業内容
- ・船舶用機械・機器の輸出入
・再生可能エネルギー関連事業
・産業機器・製品の調達・販売
・OMOGANEYAの運営 - URL
- https://marinetechno.jp/
- 連絡先
- info-jp@marinetechno.jp
お問い合わせ
contact製品・サービスの掲載、掲載情報に関するお問い合わせ、OMOGANEYAを通じた調達・販売・取引支援について、お気軽にご相談ください。