OMOGANEYA Technical Academy 〜 重金屋 技術塾 〜

技術アカデミー

船舶設計|船舶設計で使用する主要用語

船舶の基本設計では、船の長さ、幅、深さ、喫水などの主要寸法をはじめ、船型を表す各種係数や、船舶の大きさ・重量を表すさまざまな用語が使用される。

ここでは、船舶設計を学ぶうえで基本となる主要寸法、船型を表す係数、容量トン数および重量トン数に関する用語について整理する。

1. 船体の主要寸法

長さ

全長(LOA
船体の船首最前端から船尾最後端までを水平方向に測った長さを全長(LOA:Length Overall)という。

垂線間長(LPP または LBP、L)
船首側の前部垂線(F.P.:Forward Perpendicular)と、船尾側の後部垂線(A.P.:After Perpendicular)との水平距離を垂線間長という。
前部垂線は、船首材前面における外板の外側線と計画満載喫水線との交点を通る鉛直線である。
後部垂線は、舵柱を有する船では舵柱の後面、舵柱を有しない船では舵頭材の中心を通る鉛直線とする。

船体中央(Midship)
垂線間長の中央に位置する点を船体中央(Midship)という。

登録長(LR
船舶の登録に用いられる船の長さを登録長という。
登録長は、上甲板の下面における船首材の前面から船尾垂線までの水平距離を基準として定められる。
舵を有しない船舶では、上甲板の下面における船首材の前面から船尾外板の後面までの水平距離の90%を登録長とする。
登録長は船舶国籍証書に記載される。

水線長(LWL
船体と水面が交わる水線上において、船首側から船尾側までを測った長さを水線長という。
水線長は、船体の抵抗などを検討する際に用いられる。

型幅(BMLD, B)
船体の最大幅部において、左右の外板内面間を水平方向に測った距離を型幅という。

全幅(BEXT、BMAX
船体の最も幅が広い部分において、左右の外板外面間を水平方向に測った距離を全幅という。

深さ・喫水

型深さ(DMLD, D)
キール上面から、船側外板の内側線と上甲板下面との交点までを垂直方向に測った距離を型深さという。
上甲板の舷側部がラウンドガンウェル形状の場合は、上甲板下面と船側外板内側線をそれぞれ延長し、両延長線が交わる点までの垂直距離をとる。

満載喫水(Load draft)
船が十分な予備浮力を持ち、安全に航海できる限度まで積載した状態における喫水を満載喫水といい、そのときの喫水線を満載喫水線という。
満載喫水は船体の形状や強度などを考慮して定められ、航行する海域や季節によって異なる。

型喫水(dMLD, d)
キール上面から喫水線までを垂直方向に測った距離を型喫水という。
設計上は、計画夏期満載喫水線までの型喫水を計画満載喫水とする。

最大喫水(dEXT、dMAX
型喫水にキールの厚さを加えたものを最大喫水という。

2. 肥せき係数

船体の形状を表す係数として、方形肥せき係数、中央横断面係数、柱形肥せき係数、たて柱形肥せき係数、水線面積係数などがある。

方形肥せき係数(CB
型排水容積 \nablaと、垂線間長 LPPL_{PP}、型幅 BMLDB_{MLD}、型喫水 dMLDd_{MLD}からなる直方体の容積との比を方形肥せき係数という。

CB=LPP×BMLD×dMLD:型排水容積\begin{aligned} C_B &= \frac{\nabla}{L_{PP} \times B_{MLD} \times d_{MLD}} \\\\\\ \nabla &: \text{型排水容積} \end{aligned}



中央横断面係数(CM
型中央断面面積 AMA_Mと、型幅 BMLDB_{MLD}、型喫水 dMLDd_{MLD}からなる長方形の面積との比を中央横断面係数という。

CM=AMBMLD×dMLDAM:型中央断面面積\begin{aligned} C_M &= \frac{A_M}{B_{MLD} \times d_{MLD}} \\\\\\ A_M &: \text{型中央断面面積} \end{aligned}



柱形肥せき係数(CP
型排水容積 \nablaと、型中央断面面積 AMA_Mに垂線間長 LPPL_{PP}を乗じた容積との比を柱形肥せき係数という。

CP=LPP×AM=CBCMC_P = \frac{\nabla}{L_{PP} \times A_M} = \frac{C_B}{C_M}



たて柱形肥せき係数(CV
型排水容積 \nablaと、型水線面面積 AWA_Wに型喫水 dMLDd_{MLD}を乗じた容積との比を、たて柱形肥せき係数という。

CV=AW×dMLDAW:型水線面面積\begin{aligned} C_V &= \frac{\nabla}{A_W \times d_{MLD}} \\\\\\ A_W &: \text{型水線面面積} \end{aligned}



水線面積係数(CW
型水線面面積 AWA_Wと、垂線間長 LPPL_{PP}、型幅 BMLDB_{MLD}からなる長方形の面積との比を水線面積係数という。

CW=AWLPP×BMLDAW:型水線面面積\begin{aligned} C_W &= \frac{A_W}{L_{PP} \times B_{MLD}} \\\\\\ A_W &: \text{型水線面面積} \end{aligned}


なお、これらの肥せき係数はいずれも無次元量である。


3. 容量トン数

船舶の大きさを表す方法の一つとして、船内の容積を基礎として算定する容量トン数がある。

従来の総トン数・純トン数

総トン数(G.R.T.)
従来の総トン数は、測度甲板より下の内容積と、測度甲板より上にある閉囲された場所のうち測度の対象となる容積を基礎として算定される。

100立方フィート(約2.83㎥)を1容積トン(register ton)として表す。

純トン数(N.R.T.)
従来の純トン数は、総トン数の対象となる容積から、機関室、船員室、バラスト水槽など船舶の運航に必要な場所を差し引いて算定したものである。

主として貨物などを積載するために利用できる場所の容積を表す指標として用いられた。

国際総トン数(GT)

1969年に「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約」が採択され、船舶のトン数について国際的に統一された測度方式が導入された。同条約は1982年に発効している。

国際総トン数(GT)は、船舶のすべての閉囲場所の合計容積を基礎として、船舶全体の大きさを表す数値である。

GT=K1VGT = K_1V

VV:船舶のすべての閉囲場所の合計容積[m³]

K1=0.2+0.02log10VK_1 = 0.2 + 0.02\log_{10}V

K1K_1VV によって定まる係数

総トン数(gt)

日本国内では、国際総トン数とは別に、国内における船舶の大きさを表す総トン数が用いられる。
総トン数は船舶国籍証書に記載され、税金や各種法令の適用などにおいて船舶の規模を判断する基準の一つとなる。

「船舶のトン数の測度に関する法律」第5条第2項では、総トン数は、国際総トン数の算定について定める同法第4条第2項の規定の例により算定した数値に、国土交通省令で定める係数を乗じて算定するものとされている。

また、総トン数計算書では、この「法第4条第2項の規定の例により算定した数値」を tt として表している。

gt=t×k1×k2k1=0.6+t10000k2=1+30t180\begin{aligned} gt &= t \times k_1 \times k_2 \\\\\\ k_1 &= 0.6 + \frac{t}{10000} \\\\\\ k_2 &= 1 + \frac{30-t}{180} \end{aligned}


k1k_1 が1を超える場合は、k1=1k_1=1 とする。

k2k_2 が1未満の場合は、k2=1k_2=1 とする。

このため、一層甲板船では tt が4,000以上になると両係数が1となり、総トン数(gt)は t と等しくなる。

純トン数(NT)

純トン数(NT)は、貨物場所の容積を基礎とし、船舶の喫水、深さ、旅客数などを考慮して算定される数値である。

NT=K2VC(4d3D)2+K3(N1+N210)NT = K_2V_C\left(\frac{4d}{3D}\right)^2 + K_3\left(N_1+\frac{N_2}{10}\right)

VCV_C:貨物場所の合計容積[m³]

DD:船の長さの中央における型深さ[m]

dd:型深さの下端から基準喫水線までの垂直距離[m]

N1N_1:寝台数8以下の寝室の旅客数

N2N_2:その他の旅客数

K2=0.2+0.02log10VCK3=1.25×GT+1000010000\begin{aligned} K_2 &= 0.2 + 0.02\log_{10}V_C \\\\\\ K_3 &= 1.25\times\frac{GT+10000}{10000} \end{aligned}


純トン数の算定には、次の条件が設けられている。

N1+N2N_1+N_2 が13未満の場合、N1N_1 および N2N_2 は0とする。

(4d3D)2\left(\frac{4d}{3D}\right)^2 は1を超えないものとする。

K2VC(4d3D)2K_2V_C\left(\frac{4d}{3D}\right)^2 は、国際総トン数(GT)の25%以上とする。

・純トン数(NT)は、国際総トン数(GT)の30%以上とする。


なお、現在の純トン数(NT)は、従来の純トン数(N.R.T.)と名称は類似しているが、1969年条約に基づく算定方式によるものであり、従来の容積トンを基礎とした純トン数とは算定方法が異なる。

4. 重量トン数

船舶では、容積を基礎とする容量トン数とは別に、船舶や積載物の重量を表す重量トン数が用いられる。

満載排水量(ΔF
満載喫水における船舶の排水量を満載排水量という。
海水の密度を1.025t/㎥として扱うことがある。

軽荷重量(ΔL, LW)
船舶が完成した状態における船自体の重量を軽荷重量という。
船体の固定重量のほか、機関、諸設備、法定備品などの重量が含まれる。

載貨重量(D/W, DWT)
満載排水量と軽荷重量との差を載貨重量という。
載貨重量には貨物だけでなく、燃料、水、乗組員、消耗品、備品などの重量も含まれるため、実際に積載できる貨物の重量は、載貨重量からこれらの重量を差し引いたものとなる。

この記事について

参考文献
・「船舶基本設計論」工学博士 冨田哲治郎 著
・「船舶工学入門」 商船高専キャリア教育研究会 編
・「図解入門よくわかる最新船舶の基本と仕組み [第4版]」川崎 豊彦 著

参考資料
・International Maritime Organization (IMO), “International Convention on Tonnage Measurement of Ships”
・船舶のトン数の測度に関する法律(昭和55年法律第40号)
・船舶のトン数の測度に関する法律施行規則(昭和56年運輸省令第47号)

(最終閲覧:2026年8月29日)


※本記事は、上記文献を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。

この記事を書いた企業

企業名
株式会社マリンテクノサービス
事業内容
OMOGANEYAの運営
船舶用機械・機器の輸出入
再生可能エネルギー関連事業
産業機器・製品の調達・販売
URL
https://marinetechno.jp/
連絡先
info-jp@marinetechno.jp
contact

製品・サービスの掲載、掲載情報に関するお問い合わせ、OMOGANEYAを通じた調達・販売・取引支援について、お気軽にご相談ください。