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【総合設計・基本計画|1. 船主の要求事項】1.2 船速・載貨重量・最大搭載人員

船舶の基本計画では、船の種類や用途に加え、船主が求める船速、載貨重量および最大搭載人員などの条件を整理する。
本項では、これらの用語がそれぞれ何を表すのか、その基本的な内容について説明する。

1.2.1 船速

船舶の速さは、国際単位系(SI)が使用される現在においても、一般にノット(knot)で表される。
船速は船種によって異なり、貨物船では10数ノット程度、旅客船やフェリーでは20ノット以上の速力をもつ船もあり、なかには50ノット台に達するものもある。

また、船速は排水量(displacement)によって変化するため、満載喫水や計画喫水など、どのような状態における速力であるかを明確にする必要がある。
さらに、実際の航海で生じる速力低下を考慮し、シーマージン(sea margin)についても定めておく。

速力の単位

ノットは、船舶の速力を表す単位である。1ノットは、1時間に1海里を航走する速さを表す。
1海里(M)は1,852 mであり、緯度1分、すなわち1度の60分の1に相当する距離である。

1knot=1M/h=1.852km/h1\,\mathrm{knot} = 1\,\mathrm{M/h} = 1.852\,\mathrm{km/h}


航海速力とシーマージン

航海速力(service speed:VS)は、計画満載喫水において、機関を常用出力(NOR)で運転したときの速力である。

実際の航海では、風や波などの気象・海象の影響を受けるほか、船底の汚損などによっても船速が低下する。
このような影響を考慮して航海速力に見込む出力の余裕を、シーマージン(sea margin:SM)という。
シーマージンには、一般に10%または15%が用いられる。


シーマージンは、次式によって表される。

SM=NORP1P1×100[%]SM = \frac{NOR – P_1}{P_1} \times 100 \quad [\%]

P1:船体の汚損がなく、気象・海象の影響を受けず、水深が十分にある海域において、航海速力を得るために必要な出力

試運転速力(VT:Trial speed)

船舶の建造後には海上試運転が行われ、船速と機関出力などが計測される。
この試運転において計測される速力を、試運転速力(trial speed:VT)という。

契約速力などは、所定の喫水および環境条件における速力として定められる。
実際の試運転では、これらの条件と一致しない場合があるため、喫水、水深、風、波、潮流などの影響を考慮して試運転結果を補正する。

1.2.2 載貨重量と積載能力

船舶が積載できる量を表す代表的な指標が、載貨重量(deadweight)である。
ただし、積載能力の表し方は船種や貨物の種類によって異なる。

例えば、コンテナ船ではTEUまたはFEU、自動車運搬船では積載できる自動車の台数、LNG船では積載できるLNGの容積などによって表される。これらも、各船舶の大きさや積載能力を示す目安となる。

船種による積載量の表し方

コンテナ船の積載能力を表すTEUは、Twenty-foot Equivalent Unitの略称であり、20フィートコンテナに換算した個数を表す。

FEUは、Forty-foot Equivalent Unitの略称であり、40フィートコンテナに換算した個数を表す。

このほか、自動車運搬船では自動車の積載台数、LNG船ではLNGの積載容積が、それぞれの積載能力を表す指標として用いられる。

載貨重量と総トン数

載貨重量は、船主と造船所との間で船舶の計画を進めるうえで重要な数値となる。
一方、一般に船舶の大きさを表す指標としては、載貨重量や排水量のほかに、総トン数(gross tonnage)が用いられる。

総トン数は、港税などの各種料金を算定する際の基礎となるほか、諸規則において、船舶に備える設備や乗組員数などを定める際の指標としても使用される。

日本の小型船では、「699トン型」のように、総トン数を用いて船舶の大きさを表す場合がある。

貨物倉容量

貨物倉容量(cargo hold capacity)とは、貨物倉内で貨物を積載できる部分の総容積であり、容積による貨物の積載能力を表す。

木材チップなどの比較的密度の小さい貨物を積載する船では、重量だけでなく貨物倉容量も積載能力を表す重要な数値となる。

貨物倉内には、フレームやビームなどの船体構造部材による突起がある。
このため、貨物の形態によって実際に使用できる容積が異なり、貨物倉容量にはグレーン容量とベール容量という表し方がある。

グレーン容量

グレーン容量(grain capacity)は、穀物のように、貨物倉内の構造部材の周囲まで入り込む貨物を積載する場合の容積である。
船体外板の内側までを含めた容積として表され、ばら積み貨物船ではグレーン容量が用いられる。

ベール容量

ベール容量(bale capacity)は、梱包された貨物を積載する場合の容積であり、貨物倉内にある構造部材の突起よりも内側の部分について表される。

1.2.3 最大搭載人員

最大搭載人員は、船舶に搭載する旅客や乗組員の人数を示す条件である。

旅客船では旅客数が船舶の計画における重要な条件となる。
貨物船では、旅客船ほど搭載人員の影響は大きくないものの、乗組員数は居住区の部屋数やベッド数に関係するほか、船内設備の自動化や機器の遠隔操作を検討する際の条件にもなる。

また、職員(officer)と部員(ratings)が異なる国籍で構成される場合もあるため、乗組員の人数や構成は船主要求事項の一つとして示される。

この記事について

参考文献
・「これ一冊で船舶工学入門」商船高専キャリア教育研究会 編
・「船- 引合から解船まで」関西造船協会編集委員会 編


参考資料
・ITTC, “Preparation, Conduct and Analysis of Speed/Power Trials,” Recommended Procedure 7.5-04-01-01.1, Revision 08, 2024.
(最終閲覧日:2026年9月10日)


※本記事は、上記文献を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。
 なお、試運転速力に関する説明では、ITTCの推奨手順も参考にした。


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