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電力広域的運営推進機関(広域機関)とは
電力広域的運営推進機関(広域機関)とは
2011年の東日本大震災では、東京電力エリアの供給力が大きく低下し、計画停電が実施された。
当時、日本全体として十分な供給力は存在していたが、エリア間の送電インフラの制約により、広域的な電力融通には限界があった。
こうした経験を踏まえ、電力システム改革の一環として2015年に電力広域的運営推進機関(広域機関またはOCCTO)が設立された。
※一般に『広域機関』と呼称されることが多いため、本記事でも以降はこれに倣い『広域機関』と表記する。
広域機関の主な役割
広域機関の主な役割は、次の3つに整理される。

図 広域機関の主な役割
需給調整・系統運用
再生可能エネルギーの導入拡大により電力需給の変動性は年々高まっており、広域的な調整機能の重要性は増している。
これらの調整機能の中枢として、広域機関が活躍している。
全国の需給状況・系統運用の監視
全国の電力需給および系統運用の状況をリアルタイムで監視する。
緊急時には、一般送配電事業者に対して必要な指示を行い、広域的な安定供給を維持する。
市場制度の設計と運用
従来、各エリアで確保していた調整力は、2024年度からは、それまで各エリアで個別に調達していた調整力が需給調整市場を通じて全国大で効率的に調達される運用へと完全移行した。
広域機関はこの「需給調整市場」の制度検討および詳細設計を担う。
市場機能の高度化
再生可能エネルギーの出力制御に関する検証を行うほか、卸電力市場(kWh)と需給調整市場(ΔkW)を統合的に扱う同時市場の導入検討など、市場メカニズムの高度化に向けた検討を行っている。
次世代型電力ネットワークへの転換
カーボンニュートラルの実現に向け、既存の電力網の高度化およびレジリエンス(強靭性)の強化に向けた制度設計・計画策定を行う。
再生可能エネルギーの主力電源化への対応
「広域系統長期方針」および「広域系統整備計画」を策定し、計画的な設備投資を主導する。
また、発電設備を系統に接続する際の系統アクセスルール整備や、「日本版コネクト&マネージ」の推進により、再生可能エネルギーの早期連系を促進する。
電力レジリエンスの強化
大規模災害時でも供給を維持し、迅速な復旧を可能にするため、送配電設備の高経年化対策や設備更新に関するルールを策定する。
あわせて、災害復旧費用の相互扶助制度を運用するなど、広域的な支援体制を整備する。
安定供給のための供給力確保
将来にわたる電力不足を防ぐため、需要見通しを策定し、必要な供給力を確保するための制度設計および運営を行う。
需給見通しの策定
過去の実績や経済指標の回帰分析に基づき、今後10年間の需要想定を策定・公表する。
これは供給計画や容量市場の起点となる重要なデータである。
また、長期脱炭素電源オークションの実施や電源開発の参考となるよう、
将来の需給シナリオも検討する。
供給力確保制度の設計・運営
将来の発電能力をあらかじめ確保する「容量市場」の設計・運営を行い、発電事業者の投資予見性を高める。
また、FIT/FIP制度に基づく再エネ賦課金の管理や交付金の支払い事務、および緊急時に備えた予備電源制度の詳細設計・運営も担う。
供給計画の取りまとめ
今後10年間の電力需給バランスを一元的に把握・評価する業務を行う。
<需給バランスの評価>
発電所・送電網の整備計画が適切かを確認する。
<課題への対策>
需給逼迫が予想される場合、国や事業者と連携し、供給力の追加確保に向けた制度的対応を検討する。
<国への報告>
取りまとめ結果を経済産業大臣へ提出し、制度設計に関する意見を付すことで、将来的な政策立案に寄与する。
以上が広域機関の主な役割である。
広域機関は、電力システム改革後の広域的な調整機能を担う中核機関として、日本の電力安定供給を制度面から支えている。
コネクト・マネージとは
2000年代後半、イギリスでは風力発電の建設ラッシュが起きたが、当時の送電線の増強工事後の連系しか認めない「Invest then Connect(投資してから接続)」というルールにより、15年の連系待ちも発生するという事態が発生した。
当時イギリス政府では2020年までに再エネ比率を高めるという目標があり、これに間に合わないと判断をした政府は、先に繋いで(Connect)、混雑した際に運用で管理(Manage)する対策をとることでこの状況を乗り越えようとした。
そして、2010年に正式にコネクト&マネージ(Connect and Manage)が導入されることとなった。
Ofgemのモニタリングレポートによると、
コネクト&マネージの導入により連系時期は平均で5年以上前倒しされたと報告されている。
この記事について
参考文献
・電力広域的運営推進機関(広域機関)公式ウェブサイト
https://www.occto.or.jp/
(参照日:2026年2月20日)
・Government Response to the technical consultation on the model for improving grid access
・Monitoring the ‘Connect and Manage’ electricity grid access regime: sixth report from Ofgem
※本記事は、上記文献を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。
記事作成
株式会社マリンテクノサービス
info-jp@marinetechno.jp
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