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【第1章 水力発電|第1節 水力学】1.2 水力発電における水力学の基本定理 2

1.2.1 開水路の平均流速

開水路を流れる水の平均流速は、水路の勾配や断面形状、壁面の粗さなどによって変化する。

開水路における平均流速を表す基本的な関係式の一つに、シェジーの式(Chézy formula)がある。

v=cRI(1.21)v = c\sqrt{RI} \quad (1.2\text{-}1)



ここで

R=ASI=tanθ\begin{aligned} R &= \frac{A}{S} \\ I &= \tan\theta \end{aligned}



v:平均流速m/s[m/s]
c:流速係数m1/2/s[m^{1/2}/s]
R:径深m[m]
A:流水断面積m2[m^2]
S:潤辺
I:水路勾配
θ:水路底が水平面となす角

径深 R は、流水断面積 A を、水が水路壁面と接している長さである潤辺 S で除した値である。

シェジーの式に含まれる流速係数 c は、水路の粗さや径深などの条件によって変化する。流速係数 c を求める式には、クッターの式、バザンの式、マニングの式などがある。


1.2.2 流速係数を求める式

クッターの式

クッターの式では、粗度係数 n と径深 R から流速係数 c を求める。

c23+1n1+23nR(1.2-2)c \approx \frac{23+\frac{1}{n}}{1+\frac{23n}{\sqrt{R}}} \tag{1.2-2}



ただし、水路勾配 I > 1/1000 の場合に用いる。

粗度係数 n は、水路や管路の材質、表面状態、施工状態などによって異なる。代表的な粗度係数を表1.2-1に示す。

※上表は代表的な材料・水路の粗度係数を抜粋したものであり、実際の粗度係数は材質、施工状態、水路の状態等によって異なる。
出典:長野県「林地開発許可申請の手引き」p.308–312を基に作成。


バザンの式

バザンの式も、流速係数 c を求める式の一つである。

c=871+nR(1.2-3)c = \frac{87}{1+\frac{n’}{\sqrt{R}}} \tag{1.2-3}




n’:バザンの式に用いる粗度係数

なお、バザンの式で用いる粗度係数 n’ は、クッターの式およびマニングの式で用いる粗度係数 n とは異なる。

マニングの式

マニングの式では、粗度係数 n と径深 R を用いて、流速係数 c を次式で表す。

c=1nR1/6(1.2-4)c = \frac{1}{n}R^{1/6} \tag{1.2-4}



クッターの式とマニングの式では、おおむね同じ粗度係数 n を用いることができる。


1.2.3 マニングの式による平均流速

式(1.2-1)に式(1.2-4)を代入すると、平均流速 v は次式で表される。

v=1nR2/3I1/2=1n(AS)2/3I1/2(1.2-5)v = \frac{1}{n}R^{2/3}I^{1/2} = \frac{1}{n}\left(\frac{A}{S}\right)^{2/3}I^{1/2} \tag{1.2-5}



この式から、粗度係数 n、径深 R および水路勾配 I により、開水路の平均流速を求めることができる。


1.2.4 摩擦損失水頭

水路を流れる水には、水路壁面との摩擦による損失が生じる。
水路長を ll[m]、水路勾配を I とすると、摩擦損失水頭 HfH_f は、下記で表される。

Hf=IlH_f = Il



さらに、式(1.2-5)から水路勾配 I を求めて代入すると、下記の通りとなる。

Hf=n2v2R4/3l[m](1.2-6)H_f = n^2\frac{v^2}{R^{4/3}}l \quad [\mathrm{m}] \tag{1.2-6}


したがって、粗度係数 n、径深 R、平均流速 vv および水路長l l が分かれば、摩擦損失水頭 HfH_f を求めることができる。


この記事について

参考文献
・「発電工学(改訂版)」一般社団法人電気学会 著:吉川 榮和/垣本 直人/八尾 健


参考資料
・長野県「林地開発許可申請の手引き(令和6年4月1日適用)」
(最終閲覧:2026年9月2日)


※本記事は、上記文献および資料を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。

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