OMOGANEYA Technical Academy 〜 重金屋 技術塾 〜

技術アカデミー

第1章 受電設備の基本構成|1.2 高圧受電設備の受電方式

1.2.1 受電方式の種類

受電設備の受電方式は図1.2-1の通りである。

本項では、受電方式を理解しやすくするため、需要家側から見た受電回線数による分類と、系統側から見た供給構成による分類の2つの観点から整理する。

受電方式の決定については、一般送配電事業者の電力供給事情を考慮した上で、双方の協議をもって確定するものである。

また、ループ受電方式やスポットネットワーク受電方式は6kV(高圧)受電設備では適用されず、特別高圧受電設備で用いられる受電方式であるが、受電方法の理解の観点から含めて説明する。

図1.2-1 受電方式の分類

図1.2-1 受電方式の分類

1.2.2 1回線受電方式

小規模受電設備で採用される最も基本的な受電方式である。
経済的であるが、系統事故時には全停電となり、事故復旧までは受電できないため供給信頼性は低いことで知られる。

1回線受電方式はさらに下記の2つに分類される。

専用受電方式

他の需要家を介さずに、変電所から専用線で供給する方式。
T分岐受電方式に比べ、供給の安定性を確保できる分、工事負担金が高額となる。

T分岐受電方式

配電線に多数の需要家が接続されるこの方式は、単一事故発生時には同系統に接続される他の需要家へ停電波及するという欠点があるが、通常採用される受電方式である。

図1.2-2 1回線受電方式

図1.2-2 1回線受電方式

1.2.3 2回線受電方式

受電回線を2回線設ける方式で、1回線受電方式に比べ供給信頼性が向上するが、設備費や負担金が高くなるうえ、より多くの敷地面積が必要となる。

2回線受電方式といえば、常用・予備受電方式を示すことが多いが、ここではループ受電方式も2回線の受電という観点からここに含める。

常用・予備受電方式

本線引込みのほか、予備線を設ける方式。

2回線とも常時電圧が印加されているが、予備線側は開放されており、本線事故時に予備線に短時間で切り替えて受電を継続する。

切り替えの際に停電は伴うものの、受電の継続が可能となることが特徴である。

常用・予備受電方式はさらに、同一電源、同一母線から受電する「同系統受電方式」と別電源、別母線から受電する「異系統受電方式」にわかれる。

図1.2-3 常用・予備受電方式

図1.2-3 常用・予備受電方式

ループ受電方式(特別高圧)

特別高圧の受電設備において適用される受電方式である。

1回線の故障でもほかの回線から供給されるため、信頼性は高いが送電容量が増大し、保護方式も複雑となるため経済性に劣る。

多くは大都市の負荷過密地域で採用され、1つの配電線に4~5の需要家をループ状に接続するため、供給回線が故障停止しても無停電で継続受電できる。

配電線は全需要家の全負荷容量を供給できる必要があり、経路に接続される各需要家の母線や各機器の定格もループ系統全体の容量によって定められる。

図1.2-4 ループ受電方式

図1.2-4 ループ受電方式

その他「逆π受電」などの方式もあるが、ここでは説明を割愛する。

スポットネットワーク受電方式(特別高圧)

スポットネットワーク受電方式は、大都市の負荷過密地域にある高層ビルなどで採用される、供給信頼性の高い受電方式である。

一般に、22kVまたは33kVの2~4回線で受電し、それぞれに接続されたネットワーク変圧器の二次側を、高圧または低圧のネットワーク母線に接続して全バンクを並列運転する。

1回線に事故が発生した場合でも、事故回線を自動的に切り離し、ほかの健全な回線から供給を継続できる。このため、原則として停電を伴わず、供給信頼度は極めて高い。

低圧スポットネットワーク方式では、20kV級から低圧へ直接変圧することにより、中間電圧である6.6kVの設備を省略できる。

これにより、設備を簡素化できるほか、供給力の増加、電圧降下および電力損失の低減を図ることができる。

このような特徴から、大容量かつ高い供給信頼度が要求される都市部の高層ビル群などに適用される。

各ネットワーク変圧器の二次側には、プロテクタ遮断器、プロテクタヒューズおよび保護リレーによって構成されるネットワークプロテクタを設置する。

ネットワークプロテクタを設置することにより、20kV級側の受電用遮断器を省略し、受電設備を簡素化できる。

ネットワークプロテクタの代表的な動作特性には、次の3つがある。

逆電力遮断特性

複数の配電線のうち1回線が故障したとき、健全な回線からネットワーク変圧器およびネットワーク母線を介して、故障回線へ電流が逆流することを防止する特性である。

故障回線への逆電力を検出すると、プロテクタ遮断器が自動的に開放され、故障回線がネットワーク母線から切り離される。

差電圧投入特性

逆電力遮断特性によってプロテクタ遮断器が開放されている状態で、停止していた回線が復電し、ネットワーク変圧器の二次側が充電された場合に動作する特性である。

プロテクタ遮断器の両端に生じる電圧差を検出し、ネットワーク変圧器側から負荷側へ電流が流れる条件が成立すると、プロテクタ遮断器を自動的に投入する。

差電圧投入特性は、過電圧投入特性とも呼ばれる。

無電圧投入特性

配電線の全停電によってネットワーク母線が無充電となっている状態で、いずれかの配電線が復旧した場合に動作する特性である。

復旧した配電線によってプロテクタ遮断器の変圧器側が充電されると、当該遮断器を自動的に投入し、ネットワーク母線への供給を再開する。

図1.2-5 スポットネットワーク受電方式

図1.2-5 スポットネットワーク受電方式

この記事について

参考文献
・「高圧受電設備」オーム社 田沼 和夫 著
・「高圧受電設備等設計・施工要領(改訂2版)」オーム社
・「電気設備技術者のための建築電気設備 技術計算ハンドブック 上巻」一般社団法人日本電設工業協会
・「高圧受変電設備の計画・設計・施工(改訂第6版)」一般社団法人日本電設工業協会
・「徹底攻略 電験一種 一次試験 電力」オーム社 塩沢 孝則 著


※本記事は、上記文献を参考にしつつ、筆者の理解に基づき整理したものである。


この記事を書いた企業

企業名
株式会社マリンテクノサービス
事業内容
・船舶用機械・機器の輸出入
・再生可能エネルギー関連事業
・産業機器・製品の調達・販売
・OMOGANEYAの運営
URL
https://marinetechno.jp/
連絡先
info-jp@marinetechno.jp
企業ページを見る
contact

製品・サービスの掲載、掲載情報に関するお問い合わせ、OMOGANEYAを通じた調達・販売・取引支援について、お気軽にご相談ください。