OMOGANEYA Technical Academy 〜 重金屋 技術塾 〜
電気・電子シリーズ 番外編|第5回 JC-STARと電力分野|太陽光発電・蓄電池の系統連系要件
太陽光発電や蓄電池では、PCSやEMS、BMS、遠隔監視装置など、通信機能を備えた機器が使用されている。
こうした機器の普及に伴い、電力分野においてもサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっている。
日本では、太陽光発電や蓄電池のサイバーセキュリティ対策として、セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)の活用が進められており、一定の時期以降に契約申込みを行う案件については、JC-STAR★1を取得した機器の使用が系統連系の要件となる。
ここでは、太陽光発電・蓄電池とJC-STARの関係をはじめ、対象となる機器や適用時期などについて整理する。
5.1 電力分野とJC-STAR
太陽光発電や蓄電池では、設備の監視や制御などに通信機能を有する機器が使用されている。
資源エネルギー庁では、こうした分散型電源のサイバーセキュリティ対策として、IoT製品のセキュリティレベルを可視化するJC-STARの活用について検討を進めてきた。
その結果、太陽光発電および蓄電池について、系統連系にあたりJC-STAR★1を取得した製品を使用することが要件化されることとなった。
5.2 5.2 太陽光発電・蓄電池への適用開始時期
JC-STAR★1を取得した機器の使用が系統連系の要件となる時期は、電圧区分によって異なる。
特別高圧・高圧
2027年4月以降に契約申込みを行う太陽光発電・蓄電池について、JC-STAR★1を取得した機器の使用が系統連系の要件となる。
低圧(50kW未満)
流通在庫の存在を踏まえた経過措置として、2027年10月以降に契約申込みを行う案件から対象となる。
このため、適用時期を判断するうえでは、接続検討の申込時期ではなく、契約申込みの時期が基準となる。
5.3 接続検討中の案件
一般送配電事業者によって、すでに接続検討申込が受理されている案件であっても、それだけでJC-STAR★1の取得要件の対象外となるわけではない。
特別高圧・高圧の太陽光発電・蓄電池では、契約申込みが2027年4月以降となる場合、JC-STAR★1を取得した機器の使用が求められる。
低圧(50kW未満)についても、契約申込みが2027年10月以降となる場合は対象となる。
5.4 対象となる機器
太陽光発電・蓄電池で使用される機器のすべてが、JC-STAR★1取得要件の対象となるわけではない。
資源エネルギー庁では、太陽光発電・蓄電池が採用する通信機能を有する機器を対象としている。
対象となる機器として、次のようなものが示されている。
・PCS(パワーコンディショナ)
・BMS(バッテリーマネジメントシステム)
・EMS等の出力制御装置
・遠隔監視装置
また、ゲートウェイなどを介さず、主要な構成製品と直接接続している機器についても対象となる。
一方、ルーターや監視カメラなど、発電設備に直接関連しないIoT機器についてはJC-STAR取得要件化の対象外とされている。
ただし、サイバーセキュリティ対策の観点から、これらの機器についてもJC-STAR★1を取得した機器の利用が推奨されている。
5.5 既設設備の扱い
すでに系統へ接続されている太陽光発電・蓄電池について、JC-STAR★1を取得していない機器を使用していることを理由として、直ちに系統接続ができなくなるものではない。
特別高圧・高圧では2027年4月より前、低圧(50kW未満)では2027年10月より前に契約申込みが完了している案件については、本要件が遡及適用されて直ちに系統接続ができなくなることはないとされている。
一方、既設設備においてPCS等の故障による機器交換を行う場合や、新たに蓄電池等を併設する場合の取扱いについては、2026年8月現在、調整中とされている。
系統用蓄電池とJC-STAR
系統用蓄電池については、系統連系要件とは別に、系統用蓄電池等の導入支援事業や長期脱炭素電源オークションにおいても、サイバーセキュリティ対策としてJC-STAR★1が活用されている。
また、今後はJC-STAR★2以上の基準の整備や導入についても議論が進められている。
5.7 今後のJC-STARと電力分野
電力分野におけるJC-STARの活用は、★1だけに限られるものではない。
経済産業省では、分散型電源固有の脅威や特性、PCSに必要となる機能などを考慮した、分散型電源独自のJC-STAR★2以上の基準についても整備に向けた検討を進めている。
太陽光発電や蓄電池をはじめとする分散型電源では、通信機能を有する制御機器が電力系統と関係することから、系統連系におけるサイバーセキュリティ対策の一つとしてJC-STARの活用が進められている。
この記事について
参考文献
・資源エネルギー庁「太陽光発電及び蓄電池のサイバーセキュリティ確保」
・経済産業省「太陽光発電や蓄電池のサイバーセキュリティ対策」
・資源エネルギー庁「分散型電源のサイバーセキュリティ対策について」
・資源エネルギー庁「サイバーセキュリティの確保」
(最終閲覧:2026年8月28日)
※本記事は、上記文献を参考に制度の概要を整理したものである。
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