OMOGANEYA Technical Academy 〜 重金屋 技術塾 〜
電気・電子シリーズ 番外編|第2回 系統用蓄電池の接続検討と技術資料
2.1 接続検討と技術資料
系統用蓄電池を電力系統へ接続する場合、一般送配電事業者に対して接続検討申込みを行い、接続する系統への影響や必要となる系統増強工事、工事費負担金、連系までに必要となる期間などについて検討を受ける。
接続検討では、蓄電池の容量や充放電電力だけではなく、実際に電力系統へ接続される設備の技術的な特性についても確認が行われる。
系統用蓄電池設備は、蓄電池だけで構成されるものではない。
蓄電池、PCS(パワーコンディショナ)、変圧器、受変電設備、保護装置など複数の設備によって構成されており、それぞれの設備が電力系統に与える影響を考慮する必要がある。
そのため、接続検討申込みでは設備構成に応じて、PCSや変圧器などの仕様書、単線結線図、保護装置に関する資料、その他の技術資料の提出を求められる。
一般送配電事業者にとって、これらの資料は接続する設備の特性を把握し、電力系統への影響を検討するための重要な情報となる。
また、詳細な設備情報を確認することは、事業者側にとっても、実際に導入可能な設備を前提として事業計画が進められているかを確認する機会の一つとなる。
2.2 メーカーからの技術資料の入手
接続検討に必要となる技術資料の中には、メーカーのWebサイトやカタログなどで一般公開されている資料だけでは確認できない情報も多い。
例えばPCSについても、定格出力などの基本的な仕様はカタログから確認できる一方、接続検討の内容によっては、より詳細な電気的特性や制御、保護機能などについて確認が必要となる。
このような場合、事業者は蓄電池メーカー、PCSメーカー、受電設備メーカーなどから必要な技術情報を入手し、一般送配電事業者へ提出する必要がある。
しかし、接続検討の段階では設備の発注や売買契約が成立していないことも多く、メーカーから詳細な技術資料を容易に入手できるとは限らない。
メーカー側からすれば、製品の詳細な技術資料には一般公開していない情報が含まれる場合もあり、誰に対しても無条件に提供できるものではない。
そのため、必要となる資料によっては、メーカーや販売店などの適切な商流を通じて資料の提供を受ける必要がある。
また、秘密保持契約(NDA)などを締結したうえで資料が提供される場合には、その取扱いにも注意する必要がある。
接続検討を進めるためには、申請書類を作成するだけでなく、採用を予定している設備について、必要な技術資料を入手できる体制を整えておくことも重要となる。
2.3 接続検討段階の設備計画
一方で、接続検討の段階ですべての設備が最終決定しているとは限らない。
系統用蓄電池事業では、接続検討の結果として示される工事費負担金や連系時期などを確認したうえで、事業性を判断する場合も多い。
そのため、接続検討申込みの段階では、採用を予定しているPCSや蓄電池、変圧器などを前提として設備構成を検討し、計画段階の設備仕様や図面を用いて申込みを行うことになる場合がある。
ここで注意が必要なのは、接続検討で使用した図面や設備資料が、そのまま実際に建設される設備の最終設計になるとは限らないことである。
接続検討時点では設備の基本的な構成を示すことができても、実際の施工に必要となる詳細設計まですべて確定しているとは限らない。
したがって、接続検討段階の資料については、「接続検討のための計画」と「実際に施工する設備の設計」を区別して考える必要がある。
2.4 契約申込み・系統連系に向けた設備設計
接続検討の回答を受け、事業化を進めることになった場合には、実際に設置する設備について、より具体的な設計を進める必要がある。
この段階では、蓄電池やPCSだけではなく、受変電設備、変圧器、保護装置、ケーブルなどを含めた設備全体について検討しなければならない。
そのため、受電設備メーカーやEPC(設計・調達・建設事業者)などとの調整が重要となる。
接続検討時に想定していた設備構成と実際に採用する設備との間に変更が生じる場合には、接続検討の前提条件や一般送配電事業者から示された回答内容との整合性について確認する必要がある。
接続検討後に設備変更が生じた場合には、「接続検討要否確認」を行う。
接続検討要否確認では、変更後の設備内容について、改めて接続検討を行う必要があるかどうかが確認される。その結果、変更内容によっては、再度の接続検討が必要となる場合がある。
なお、契約申込み後の設備変更については、電力広域的運営推進機関が公表する「送配電等業務指針第94条第4号及び第105条第1項第4号の考え方(契約申込み後の軽微な変更の典型例)について」において、再度の接続検討を必要としない軽微な変更の典型例が示されている。
実務上、受電電力の変更を伴わない設備変更については、軽微な変更として取り扱われる場合も多い。ただし、設備に変更が生じた場合には接続検討要否確認を行い、その結果に基づいて手続きを進めることとなる。
このため、接続検討の回答を得たことをもって電力申請に必要な設備設計がすべて完了するわけではない。
接続検討から実際の系統連系へ進む過程で、申請内容と最終的な設備設計を整合させていくことが重要となる。
2.5 電力会社・メーカー・事業者間の調整
系統用蓄電池の電力申請では、一般送配電事業者、蓄電池メーカー、PCSメーカー、受電設備メーカー、EPC、アグリゲーター、発電契約者、そして事業者など、複数の関係者が関わる。
なお、アグリゲーターが発電契約者を兼ねる場合も多く、案件によって関係者の構成や役割は異なる。
それぞれの立場によって必要とする情報や、設備計画への関わり方は異なる。
一般送配電事業者は、系統への影響を検討するために設備の技術情報を必要とする。
メーカーは、自社製品に関する技術情報を保有している一方、接続検討段階では製品の採用や発注が確定していない場合もある。
受電設備メーカーやEPCは、接続検討段階で作成された計画図面や設備条件を踏まえ、実際の施工に向けた具体的な設備設計を行う。このため、接続検討時の計画と最終的な設備設計との間で、技術的な整合を図る必要がある。
また、アグリゲーターや発電契約者など、実際の運用や電力取引に関係する事業者との調整が必要となる場合もある。
そして事業者には、これらの関係者から必要な情報を収集し、接続検討時の設備計画から実際に施工する設備まで、一連の計画を整合させながら事業を進めることが求められる。
系統用蓄電池の電力申請は、申請書を作成して一般送配電事業者へ提出するだけで完結するものではない。
電力会社が検討に必要とする情報を把握するとともに、メーカー等から必要な技術情報を入手し、その後の設備設計までを見据えて申請を進めることが重要である。
この記事について
参考文献
・電力広域的運営推進機関「送配電等業務指針第94条第4号及び第105条第1項第4号の考え方(契約申込み後の軽微な変更の典型例)について」
※本記事は、系統用蓄電池の電力申請に関する制度・公開資料および当社が申請支援を行う中で得た実務上の知見をもとに整理したものである。一般送配電事業者、設備構成、申請内容等によって必要となる資料や手続きは異なるため、個別案件については関係する一般送配電事業者等へ確認する必要がある。
この記事を書いた企業
- 企業名
- 株式会社マリンテクノサービス
- 事業内容
- OMOGANEYAの運営
船舶用機械・機器の輸出入
再生可能エネルギー関連事業
産業機器・製品の調達・販売 - URL
- https://marinetechno.jp/
- 連絡先
- info-jp@marinetechno.jp
お問い合わせ
contact製品・サービスの掲載、掲載情報に関するお問い合わせ、OMOGANEYAを通じた調達・販売・取引支援について、お気軽にご相談ください。